昨日、4/10に二日目の嵯峨大念佛狂言春季公演が開催されました。
嵯峨大念佛狂言は鎌倉時代の円覚上人導御によって1279年に創始された清凉寺の大念仏会がそのルーツと言われていますが、その時の様子は「
洛中辺土の道俗男女雲のごとくにのぞみ、星のごとくにつらなりて」と伝えられています(『融通念仏縁起絵巻』)。
「雲のごとく」かどうかはさておき、開演の30分前にほぼ満席。
当日の演目は「花盗人」「大黒狩」「土蜘蛛」。「花盗人」は初日にも演じられましたので、これは置いておくとして、今日は「大黒狩」のレポートを。
「大黒」は僧侶の妻のこと。本来は禁じられている妻帯をしているばかりか、子供まで作ってしまった坊さんの話です。
親子三人、相合傘で寺へ戻り、さっそく赤子を挟んで仲睦まじい情景を繰り広げます。母親の手の中の赤子をあやしたり、坊主がおんぶをしてみたり。抱っこしておしっこをさせたりとしていると...
例によって旦那と供がやってきます。お寺の戸をたたく音に坊主と大黒はびっくり仰天。あわてて大黒と子供をお厨子の中に隠します。坊主は旦那と供に厨子の扉を閉めたままで拝んでもらい、うまく二人を追い払います。しかしそれで話が済むわけがない。旦那はなんとかご開帳してもらおうと、何度も供を寺へやります。そのたびに慌てふためく坊主と大黒。最後には厨子の中に女がいるに違いないと旦那に悟られ、すきを突かれてバレてしまいます。
赤子は取り上げられ、大黒は追い払われ、坊主は縛られと散々な目に。
戒律を破った坊主の話ではあるけれど、なんとなく物悲しさも漂うストーリー。短いけれどもなんとなく味わいのある話です。
さて、写真は「土蜘蛛」のクライマックスシーンです。この糸、なにかのご利益があるらしいということで、終了後に多くのお客様がお持ち帰りになりました。
今日は「釈迦如来」と「愛宕詣」に「餓鬼角力」。いずれも、嵯峨らしい狂言です。どうぞご来場ください。